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二.
「ところで時計がなぜ十進法ではなく十二進法なのか、ということを考えたことはおありですか?
私も幼い頃にはお恥ずかしい話ですがこの十二進法の計算が苦手でして。
ものの数を数える時、普通はこう、指を一本ずつ立てたり折ったりしながら、一、二、と数えていくものでしょう。
だからおおよそのものは十進法で表されているわけです。
ではなぜ時計は十二進法なのか。
もしかすると、時計を発明した古代の誰がしが、左右ともに指を六本持った偉人の類だったからではないか、なんて考えられなくも無いですよね」
「まぁ、そうですね、さっきの前フリからしても」
「しかし残念ながら、この説は少々安直ではないかと言うのが、専門家の見解のようです。
時間の単位というのは『一日』を起源としております。
今では一日とは『地球が自転によって一周する時間』とわかっておりますが、そもそもは、陽が上って朝が始まり、やがて陽が沈んで夜が来て、また陽が上り朝が来るまで、というおおまかな基準で捉えられていたことでしょう。
それと共にいつしか月の満ち欠けの周期がおおよそ三十日であることを知り、それを『一ヶ月』とし、一ヶ月を『十二回』繰り返すと『一年』になる、ということは数千年前には既に理解されていたようです。
わかりますか。
ここで『十二』という数字が時間を数える上で大変重要になってくるわけです。
恐らくはそこから、時間に関しては十二を用いて計算していこうという流れとなり、今までざっくりと『一日』だったものが、昼と夜の二つに分けられ、続いてその両方をそれぞれに十二で割ったものを、基本的な時間の単位である『一時間』と設定したと考えられますね。
そして一時間をさらに細かく刻もうと考えた時には、既に世界には十進法のみならぬ様々な数学が成立しており、十二の倍数でもあるバビロニア発祥の『六十進法』が用いられることとなりました。
やがて秒も同様、分を六十等分して定められたのです」
「はぁ……そうなんですか……」
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