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一.
その庭には、四頭の犬がいた。
昼も過ぎ、御主人様はそろそろ休憩を取りに家に戻る頃である。
彼らは気もそぞろにその場をぐるぐると回り出したり、鎖も引きちぎれんばかりに庭の外へ走り出そうと試みたり、堪え切れずにぴょんぴょんと飛び跳ね吠え始めてしまったり、敢えて平静を装って地面に横たわり前足に顎を乗せ片目でちらちらと様子を覗ったりと、それぞれに待ち遠しい思いを全身で表現していた。
しかしそんな彼らの犬的動作のみを語っていては、物語としてはいささか物足りない。
ならば致し方ない、本来動物の言語を人間の言語に置き換えるなど無粋ではあるが、ここで一時的に彼らの言葉、吠え声だけでなく、行動や仕草なども含めた犬のコミュニケーションを一括りにまとめて、可能な限りの言語化と擬人化を試みることにする。
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