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五.
「おい!お前ら大丈夫か!?」
どのぐらいの時間、その未曾有の揺れが続いたかはわからない。
そんなことを考えている余裕も無い大地の暴虐だった。
が、いつしか少しずつ、冷静に周りを見回せる程の揺れへと収まり始め、飛び上がるように身を起こしたライが皆を振り返った。
「いやだぁ!怖いよぉ!ご主人様ぁ!!早く帰って来てよぉ!!助けてぇ!やめてくれぇ!!御主人様ぁ!!」
「何なのよ!どうなってんのよ!こんなことあっていいわけ!?どんだけ揺れてんのよ!御主人様はどこ!?大丈夫なの!?早く帰って来て!!早く抱っこして頂戴!!」
「大丈夫じゃ……必ず御主人様は帰ってきてくれる……!儂はまだまだこんなことでは逝きはせん……!儂の最期は御主人様の腕の中と決まっておるのじゃからな……!」
揺れがあらかた収まってもなお、それぞれに甲高く叫び続けている三頭の姿に、
「ま、大丈夫そうだな……。ったく……ヤシチ爺さんまで何をそんなキュンキュン妙な甘え声出してんだよ、気持ち悪ぃな……」
ライはほっと息をついたものの、そのヤシチ爺さんの向こうに見える御主人様の家に、声を失った。
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