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ホームを繋ぐ通路へ続く階段を駆け上がる。そして、通路から伸びている目当てのホームへ下りる階段を迷わず駆け下り始めた。電車はすでにホームにいて、今まさにドアが開こうとしていた。
「ヤバッ」
二段飛ばし位の勢いで階段を駆け下りる翔真。
発車のベルが駅に鳴り響いた時、彼はホームへと辿り着いた。
そのまま二歩ほど助走して、ホームを革靴の底で踏み切った。
閉じ始めるドア。
体を斜めに向け、腕を前に伸ばし、出来るだけ体勢を細くする。
閉じ行くドアの隙間を潜り抜けて車内に着地するのと、その背後でドアが完全に締まるのはほぼ同時だった。
「よし、間に合った」
彼が一息ついたその時、目の前に女性の怒った顔がある事に気付いた。
「え?」
見知らぬその顔に怒られる心当たりが無く、思わず間の抜けた返事をしてしまう。
だが、それも一瞬の事だった。すぐに彼女が怒っている理由に気付いたのだ。何しろ、前方へ伸ばした彼の手が、女性のふくよかな胸のふくらみに思いきりタッチしていたのだから。
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