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テレビ画面の右肩に出ている時計は、もうすぐ午前二時を示そうとしていた。
田原翔真は、アルコール度数がやや高めの缶入り酎ハイを飲みながら、何となく画面を眺めている。
寝なければ、と思う心があり、寝て起きたら会社だから終わらせたくない、という心がある。それは彼の中でひたすらに小競り合いを続けていた。その結果がこの夜ふかしだった。
一人暮らしである彼を咎める声はどこからも出ない。
だが、自分でもこの流れは良くないと感じていた。
「不味いよなぁ……」
ほう、と一つ息を吐き、缶入り酎ハイを飲み干す。
寝たくはないが寝なければ。最終的にはそういう形で彼の心の中の小競り合いは片が付いた。
そして、ようやく翔真は寝床に入った。
無事に起きられますように。
彼は心の中でそう祈った。
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