第十八章 覚醒社会 三

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「はいはい、仕事はプロです!」  鎌田が手を叩くと、犬塚は普通の会社員風になり、鎌田はジョギングをする選手風になっていた。 「行ってきます!」 「行ってらっしゃい……」  川崎は壬生の端末を操作すると、一真の現在地をはじき出していた。 「ここに一真さんがいます。一真さんは、自分は警察に保護されていると信じています」  一真はホテルの一室にいて、自分は保護されているのだと信じ込んでいた。そして、通信機器の全てを切っているので、誰からの連絡も受け付けない。一真は、やって来る係員だけを頼りにしていた。 「身内に行って貰うのが一番だけど、危険だな……」 「相馬部長の判断を仰ぎましょう」  だが、身内の安全を判断するのは、相当の精神力を要する。自宅も爆破されている中では、少しの脅しも判断に響くだろう。  すると、誘拐や拉致を専門とする、第四公安部が引き受けると言ってきた。 『夏目室長は、自宅で待機していてください』  第四公安部の室長、和泉は部下を殺された経験を持っていて、慎重に行動するという。そこで、俺が出てくると混乱するので、引っ込んでいろと言いたいらしい。 『分かった。任せる』
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