第一章 お言わずの島

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 ます、相馬の部屋で流れていた映像は、生島と呼ばれている島で、無人島であった。生島には山があり、その頂上に神社があった。この神社は、本島にある野島山神社の支社のようなもので、本殿には窓だけがある。その窓からは、野島山神社が見えるようになっていた。  だが、おかしな点があり、生島に対して、野島山神社は死島と呼ばれていた。  生島で祭りをするのは、三年に一回で、野島山神社の氏子だけで行われる。その内容は不明で、『お言わず』と呼ばれる取り決めがなされていた。  島での祭りの事は、島から出たら、一切、言ってはならないというようなものらしい。  又、生島は別名、『神喰島』と呼ばれていた。 「伝説みたいなものか……」  この土地には昔、暴れ者の神様がいた。神様は、酒を飲んでは雪崩れを起こし、大切な牛を丸焼きにして食べた。困った住人は、神社に集まり、どうにか宥めて、神様に働いて貰おうと相談した。  だが、神様は住民の陳情に激怒し、山を掴んで海に投げた。その津波で、島の人々は全員死んだ。その時、投げられた山が、子島となり、生島の横に並んでいる。  誰の言葉も受け入れない神様に、生き残った海辺の住民は困り果て、一つの案を出した。
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