第一章 お言わずの島

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 村の全ての酒を神社に集め、神主が神様に差しだした。神様は喜び、一晩中飲み続けると朝には眠った。住民は眠った神様を簀巻きにして運ぶと船に乗せ、生島に連れてゆくと、皆で食べた。  住民は疲れない身体を手に入れ、未来が見える目を持った。 「……焼いて食べたのかな?」  野生動物を食すると、未知のウイルスに感染する場合もあるので、しっかり焼いて食べたほうがいいだろう。 「刺身ではないですか?もしくは、ユッケとか……」 「生は危ないよ。鍋もいいな」  しかし、神様を食べるという所が面白い。 「それ、食べ方が問題ですか?」  秋鹿は、神様を食べたので、神喰島と別名が付き、祭りでは神喰いが再現され、当時と同じように戒厳令が引かれていると推測していた。 「食べ方は重要だよ。美味しく食べないと、祟られそうだ」  伝説というのは、隠している事を後世に伝えている場合も多い。神喰島、もしくは生島、死島も何かを隠しているのだろう。
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