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第二章 お言わずの島 ニ
生島は島なので船を必要とする。そこで、車は高津漁港という港へ入った。
早朝に漁をしているので、船はどこも無人で、港に人影はなかった。だが、加工会社らしき工場に秋鹿が向かうと、生島に行く船があるのか聞いていた。
「後ろは山で、生島と対になる死島がある」
山の頂上を見ながら、秋鹿の後ろ姿を確認してみると、加工会社の職員に避けられていた。こういう時は、警察の方が、手帳があるので有効で、公安は身分を明かす事ができないので不利だ。
そっと秋鹿に近付いてみると、生島にいく船は無いらしい。
「あの島には誰も行かない。行ってはいけない」
目の前に見えている島なのに、他の職員も、余計な事は言わないように身構えていた。
俺は頭の持ち主の情報をざっくり見ると、秋鹿に近付いた。
「修おじさんは、秘密だって言って、癌で長く生きられないと僕に教えてくれた。それでね、左手は見えない岬の奥にあるから、それを持って、山に納めてと言った」
ここは、神喰いの伝説が生きている土地で、何か意味を知っている。俺が行った事は出鱈目ではなく、過去にあった事件を元に創造したものだ。
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