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秋鹿の茶菓子が気に入ったのか、次第に女性達は饒舌になっていった。
「あの島は、神喰島と言って、男しか行けないのよ。それもね……行った時の事を、口外してはいけない決まり。長年、夫婦をしていても、神事の事は何も知らないのよね……」
女性は、時子と名乗り、嫁に来てから三十年も、ここで島を見ていると言っていた。
「神事ですか……」
「あの島をリゾート地にしようって話があってもね、地元の男達が大反対するわけよ……でもね、事情を聞いても、誰も教えてくれない」
時子が弾丸のように喋っていて、秋鹿の言葉を聞いていなかった。
「それどころか、女が島の名を呼ぶだけで、不浄だとか、差別発言をする!」
「そうそう。ウチの亭主も同じ!」
「こっちもそうよ」
ここの神事は、時子の話によると、準備に一年、島で三日間のスケジュールで行われるらしい。その三日間は、親が死んでも呼んではいけないとされ、男達は島から帰って来ない。
「一年、神事に選ばれた男は禊をするわけよ。週に一回、野島山神社で断食、普通の日でも一年、肉を食べない。月に一回は、野島山のお滝様で水に打たれる」
どうも、願を掛けて行うものらしく、立候補も受け付けるらしい。だが、その相談も、女性達にはないらしい。
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