第十八章 覚醒社会 三

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 情報面では、第二公安部が手助けしてくれていて、海外テロ対策を主にしている第六公安部が、千葉と周防が向かった港をフォローしてくれていた。 「公安も協力し合う事があるのか」 「相馬さんの自宅が攻撃されて、皆も危機感を持ったのでしょう」  本村は俺を抱えると車に乗り込もうとしていた。 「二世の腹心、榊原は何をしているのだろう……」 「二世の傍にいるのでは?」  二世の腹心が、ただ傍にいるだけで行動していないとは思えない。 「樹来々に追わせるのは危険だな。消去されそうだ」 「ニコとサンが、鉄吉にボディを作って貰ったので動きました」  ハクは真っ白な鳥の姿になると、俺の肩にとまっていた。 「流動体を使えばいいでしょう?」 「ニコとサンは流動体を使用すると、制御に力を割いてしまうので、能力を出し切れないのです」  どんなボディを作って貰ったのかと、画像を確認してみると、パンダと熊のぬいぐるみであった。それも、俺が昔、着せられていたものと激似している。どこか他人とは思えずに、むしろ嫌悪感が湧いてくる。  ニコとサンは、ぎこちなく歩き、時々喋って笑っていた。 「これ、通信という感じがしないけど……」 「記憶媒体、判断用として、ニコとサンは、自分の脳を腹部に入れました。加倉井さんの設計で、一か月、脳はケースの中で保存可能です」  ニコとサンは単独で行動しても、一か月以内に戻って来なければ、脳が死んでしまう。 「危険だ!」 「ニコとサンは、それでも行きたいのだそうです。生きてきた事に意味がある。そういう自我に目覚めました……」
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