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ならば、断ればいいと思うが、そうもいかない事情があったらしい。
「まあ、第九公安部に戻って、資料を確認します。それから、スケジュールを組んで、捜査してきます」
「頼むよ」
相馬は嬉しそうに、俺に紙袋を持たせた。だが、第九公安部は、公安の建屋から離れているので、持って歩くには重すぎる。そっと、荷物を椅子に下に隠していると、相馬が見ていた。
「家に届けておくよ」
「……要りません」
仕方なく、紙袋に紐を付けて背負うと、再び相馬と秘書が騒いでいた。
「かわいい!!!!!!亀みたいだ。あ、麦わら帽子を追加しよう」
「本当に。笑顔も可愛いですけど、怒っている顔もかわいい!!!!!そうですね、着替えの下着も追加しておきましょう。熊柄です!!」
面白がって、荷物を追加しないで欲しい。しかも、熊柄とは何なのだ。背中の紙袋に詰められてしまい、確認する事ができない。
「失礼します!」
俺が、怒ったまま部長室から出ると、いつも通りに、相馬の直属の部下がじっと俺を見ていた。
「事件だそうです……それも、孤島……」
「護衛泣かせだな……」
「最近、目を離すと、どこかに消えていて、見つからない……GPSでも捕捉できないし……人間業ではなくなってきた」
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