公園の巨リス

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「ううん、さっき来たばかり。今日も暑いね」  今は8月だ。まだお盆になる前の土曜日だ。平日は部活やバイトがあるのであまりデートは出来ない。僕たちは高校生だ。部活は僕も美緒ちゃんも美術部だ。絵を描いたり彫刻を作ったりしている。僕は去年、彫刻で賞を取った。  駅前は夏休みだからか若い子がいっぱいいた。 「暑いのに人込みに入るのは嫌だけど、美緒ちゃんは洋服買いたいんだろう?」 「うん、このスカートと同じ柄のブラウスがあるの。イチゴの柄って好きなんだ。最近マイブームなの」  美緒ちゃんはファミレスでバイトをしている。だからお小遣いには困らないと思うがゴシックロリィタの服は高い。ブラウス一枚で一万円はするだろう。でも美緒ちゃんの人形のような顔にはこの恰好がよく似合う。 「僕も何か買おうかな。もう秋物を売ってるみたいだから」 「そうだねー。私が浩人くんの服を見繕ってあげる。それとも同じイチゴ柄のブラウスを買おうか?」 「男でイチゴは恥ずかしいよ」  僕はそう言って頭を掻いた。
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