公園の巨リス

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 竹下通りは人、人、人でよそ見をしていると美緒ちゃんの姿を直ぐに見失った。美緒ちゃんは可愛い店があると僕に言わずにすぐ足を止める。 「迷子になっちゃうよ。そうだ、最近、原宿や渋谷で行方不明になる人が多いらしい。気を付けないと危ないんだよ」  僕はそう言って美緒ちゃんと手を繋いだ。初めてなのでドキドキした。心臓が手に移ってしまったように脈を打つ。 「それなんだけどねー。リスが人間を食べているらしいの」 「えっ、リスがなんでまた?」  僕は人間にリスが群がって人間の肉を頬張っているところを想像した。例のリスがいる公園かな。あそこは建物と建物の間で奥まったところにあるから怖い雰囲気がする。 「昼の12時になると、巨リスが出るんだって。原宿と渋谷の間に公園があるでしょう。そこの隣のビルの陰に巨リスが隠れていて12時になるとお腹を空かせて公園に出て来るらしいの。女しか食べないらしいよ。まあ都市伝説なんだけどね」  小さなリスが群がっているわけじゃないんだ。巨リスか。本当にそんな動物がいるんだろうか。 「なんか信じられないな」 「ね、私もただの噂だと思う」  僕たちは和気あいあいと話をしながらゴシックロリィタの洋服が売っている店に入る。剃刀がプリントされていたり、薬のカプセルがプリントされている服がたくさんあった。僕は柄物は持っていない。今だって十分に冒険しているファッションだ。
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