公園の巨リス

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「この服、可愛い」  美緒ちゃんがセーラー服に小さなイチゴの模様が入った服をハンガーのまま持ち上げる。僕たちの学校は男子は普通に紺色のジャケットにパンツだが女子はセーラー服だ。美緒ちゃんはそれが目当てで今の高校を受験したらしい。よっぽどセーラー服が好きなんだな。僕はにっこり笑う。 「いいんじゃない。似合いそうだよ」 「試着してみよう。浩人くんも自分の服を探したら?ここ、案外安くていい服が売ってる」  美緒ちゃんはそう言ってから店員さんに「試着してもいいですか?」と訊いていた。僕は男物を見る。黒いスキニーにレースがヒラヒラしているポケットが付いたものがあった。普段着には目立ちそうだが原宿や渋谷では普通だろう。美緒ちゃんが試着室を使っているのでその次に着てみよう。  洋服を買ってお昼を食べるため渋谷に移動することにする。山手線で行ってもいいのだが歩いても近い。もうすぐ12時だ。 「歩いて渋谷に行こうか?何が食べたい?」 「うーん、イタリアンがいいな。最近、食べてないの。家のお母さんは和食ばかり作るんだよ」  美緒ちゃんはそう言うと今度は自分から僕の手を握ってきた。僕はまた手がバクバクする。  リスが出るという公園を通らなくても渋谷には行けるのだがそこから行った方が近道だし、目的のイタリアンレストランにも早く行ける。僕たちは手を繋いだまま公園の前まで来た。公園には女の子と女の人がいて、ベンチに腰かけていた。ちょうど隣のビルの壁になるところに立て看板があった。
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