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イタリアンレストランに着いて二人掛けの席に案内される。さっき見た光景が信じられない。巨リスが人を食べるなんで。
「浩人くん、私、ゴシックロリィタの恰好をするのは意味があるの。人間をやめて人形になりたいの。巨リスに食べられたら私の人形を作ってくれる?」
「えっ?」
「浩人くん、彫刻が得意でしょう。それにリスに食べられるんだったら怖くない。まだ美しいうちに死にたいの」
「何を言ってるんだ。僕は美緒ちゃんがおばさんになってもお婆さんになっても好きでいる自信があるよ。お婆さんのロリィタって素敵じゃないか」
僕はそう言って美緒ちゃんの目をジッと見た。美緒ちゃんは食い下がる。
「でも、病気や事故で死ぬより巨リスに食べられる方がいいと思わない?それにとても可愛かった」
「可愛かったって?」
「巨リス」
人間を食べていたんだから僕は可愛いと思わないが女の子の感性は違うのだろうか。
「明日も12時に公園に行かない?」
「ダメだよ。そんなのダメだ。気の迷いだよ」
「じゃあ、巨リスを見に行くだけ」
今日は逃げることが出来たが明日も食べられないとは限らない。
「危険だよ」
「公園に入らなければ大丈夫じゃない?それにしても誰が張り紙を貼ったんだろう。巨リスを育てた人かな」
美緒ちゃんはそう言ってフォークにクルクルとパスタを巻き付ける。
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