28人が本棚に入れています
本棚に追加
「お昼はオムライスがいい。友達に勧められているオムライス屋さんが渋谷にあるの」
「じゃあ、クレープを食べてから渋谷に出て、また原宿に戻って来よう」
「うん、あ、あそこの店、人が並んでるよ」
僕は行列が出来ている店で、ブリュレが挟んであるクレープを買った。美緒ちゃんは板チョコが挟んであるどっしりしたクレープだ。食べるのに時間が掛かりそうだが、美緒ちゃんは目をキラキラさせている。生地の上に生クリームも乗っているボリュームのあるものだ。僕はポカンと口を開けてから笑った。
最初、美緒ちゃんはチョコとナッツのクレープを買おうとしたが板チョコ方が最新の商品らしいので、今持っているものを選んだようだ。ナッツと訊くと巨リスを連想してしまう。身震いがした。
僕たちは明治通りに出る。女の人が美緒ちゃんに話し掛けた。
「すみません、テレビ局のものなんですが」
女の人はキレイだ。白い半そでのTシャツを着ていて、その胸のところにはテレビ局の名前がプリントされている。カメラマンらしき人も同じTシャツを着て大きなカメラを肩に乗せている。原宿には珍しくない人たちだ。
「今、原宿のゴシックロリィタ特集をやるために撮影してるんです。よかったらインタビューさせて貰えませんか?」
美緒ちゃんは困ったように笑う。
最初のコメントを投稿しよう!