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翌日の夜、クラス全員で佐々木くんの通夜に出席することになった。折り紙に呪詛を込めた奴らも、そんなことは忘れたかのようにどの面下げてで焼香を済ませる。戸井田くんは佐々木くんの家の前で辻くんと世間話をしていたのだが、違和感に気がついた。
「あれ? 持田さん見ないけど…… 彼氏の通夜サボったのかな?」
そう、持田さんは通夜に出席していなかった。取り巻きの女子も「モッチー(持田さん)と連絡が取れないと騒いでいるぐらいだった。
その答えは明後日のホームルームにて永江先生より聞かされた。
「ちょっといいか? みんな、驚かんで聞いてくれ。持田拓歩が…… 昨日の夜、亡くなった」
驚かずに聞いてくれとは言われたが驚かざるを得ない。沈黙で何も言えなくなる者、いきなり泣き出す者、わけが分からずに隣の者に意見を求める者、様々だった。
更に翌日、戸井田くんは持田さんの通夜に出席した。持田さんと仲の良かった女子は斎場二階にある彼女の眠る遺族待機室へと呼ばれた。戸井田くんが辻くんと斎場にある無料自販機の前で世間話に興じていると、女子たちが青ざめた顔をしながら斎場二階から降りているところに遭遇した。
辻くんは彼女達とは少ないながらに付き合いがあるために話しかける。
「おう、どうしたよ?」
「あ、あ、あ、あ、あ、あんなの人の死に方じゃない」
「どうしたんだよ」
グループのうちの一人、小倉さんが辻くんにスマートフォンの画像を見せた。そこに写っていたのは老婆の写真だった。
「おいおい、どこの婆さんの写真だよ」
「これ、拓歩だよ」
彼女達は持田さんの死顔を写真に収めていた。この粗忽者がと責められる場面ではあるが、この写真はそれどころではない代物だった。
「はぁ? こんなしわくちゃで白髪のババアが持田の訳がないじゃないか。からかうのもいい加減にしろよ」
「本当なのよ! 疑うなら見てきなさいよ」
辻くんは戸井田くんに向かって手招きをした。戸井田くんは渋々ながらにその付添いとして遺族待機室へと向かう。持田さんの両親は辻くんのことは知っていたみたいで、あっさりと通してくれた。持田さんの母親は娘の永眠る部屋の障子を開ける前に、辻くんと戸井田くんに念押しをした。
「びっくりすると思うけど、驚かないでね」
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