たそがれ少女

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 ──あれで、間違いない  全てが崩れたあの春の日から、ずっと追いかけてきた黒幕。  黒い蝶でヒトもモノも夢殿に誘い出し、その魂を食らう死神。  姿は見た。  ならば縁は、必ず繋がる。 「……皐」  手に入れた微かな縁を逃さないように手を握り締める皐の背後でか細い声が上がった。  この場に割り込んでから初めて聞こえた声に、皐はようやく背後を振り返る。  その瞬間、緊張の糸が緩んだのかカクリと梓の膝から力が抜けた。 「おっと」  皐はとっさに腕を伸ばすと梓の体を抱き留めた。  そんな皐の腕にすがり、梓はうつむいたまま声を絞り出す。 「あれは……何?」  向けられた問いに、皐は言葉を詰まらせた。  姿を見られてしまっているから、下手な説明をするわけにもいかない。  だが多くを知られてしまうと、後でかき消すのに苦労することになる。 「どうしてあの子は、私にこだわったの? どうして夕方にしか出ないはずである怪異がこんな時間に出てきたの?」 「梓ちゃん……」 「どうしてあの子は、私の姿をしていたの」  ギクリと、体が強ばったのが分かった。  そんな皐に、梓は顔を上げて強い意志の宿った瞳を向ける。 「どうしてみんな『玖蓮の姫』にこだわるの? 教えてよ、皐っ!!」
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