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「私が帰ってきて会いに行った時は二人とも元気そうでしたよ。近所の人の家に住まわせてもらっていました」
「良かった…生きてたんですね」
「でも…雪子ちゃんはずっと元気がなく、鬱いでいたみたいでした。あや姉ちゃんが死んだのは自分のせいだと」
私が死んだ日、夜中に空襲警報が鳴って私は母と妹と近所の人たちと防空壕へ逃げた。
その頃は毎晩のように空襲警報が鳴り、夜中に起こされることも続いていた。
まだ4つだった妹は寝起きでひどく不機嫌で、以前叔母が遊びに来たときにくれて大事にしていたお手玉を家に忘れたことで大泣きした。
宥めても泣き止む気配がなく、その泣き声は聞いている方の気力も奪っていく。
こんな日々はいつまで続くのか。
「ほらもう泣かないで。姉ちゃんが取って来てあげる」
ひっぱりの袖で雪子の涙を拭くと、私は立ち上がった。
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