合縁奇縁

2/14
前へ
/14ページ
次へ
縫い終わるのに、思いの外時間がかかった。 込み上げる涙を拭きながら、彼が生きて帰ってきますようにと願いを込めてひと針ひと針丁寧に縫った。 生きて帰ってきてほしいなんて知られれば非国民と非難され、決して口にすることはできなかったけれど 私が彼にできることと言えば、無事を祈ったり願ったりすることしかなかったから。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加