第一章

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「ふっ、う、くぅ!!」 「声、出せ」 「っ、んああっ!!」 うつぶせに、お尻だけを高く上げた状態で動物の交尾のような体勢にさせられて。あまりの恥ずかしさに悲鳴を上げてしまった。でも遠慮もなしに刺激を与えられるものだから、声が自分の中に響いて嫌になる。それが気になったから、シーツを噛んで必死で我慢したのに!! こんなにもセックスが気持ちのいいものだなんて知らなかった。いつも同じ体位で淡泊なセックスしかしたことがなかったから。過ぎた快楽は暴力になるのだと身をもって知った。できることなら知りたくはなかったけど。喘がされて、身体は身に余る快楽で自分の意志とは関係なく跳ねて。なんでこんなことになってるんだっけ、とかぼやーっとする頭で考えてしまう。 「余裕そうだな、違うことを考えるなんて」 「も、むり、むりれす!!考えて、なんて………っ、ないかゃ!!」 ブンブンと首を振って、額を枕にこすりつけて即座に否定する。もはや呂律さえも回らなくなっている。頭なんてまともに働くわけもなく、気持ちいいけどもうやめてほしい、しか出てこない。余裕なんて、どこにもない。 「なら、俺でいっぱいだと?情熱的だなァ、ずいぶんと。それほどまでに求められるとは、男冥利に尽きると言うものだな」 「ちがっ!!」 求めてなんてない!!ヤメロって言ってるのに!! 「違う?嘘はいけねぇなぁ?」 ぐちゅ、と耳を塞ぎたくなるような恥ずかしい音がする。両手はひとまとめに押さえつけられてしまい、耳を塞ぐこともできない。完全に相手にされるがままだ。なんとか拘束をほどきたいけど、女性の力なんてたかが知れている。 「ひっ!!う、ぐ!?」 項に突如、鋭い痛みを感じて思い切り全身が強張った。 「痛みで締めるたぁ、淫乱だな」 「ふ、ぅ、いた、い…」 無抵抗の人間、とまではいわないけれど、それなりに動けない無防備な人間の項に思い切り噛みつくなんて、正気を疑う。しかもそこを舐めあげられて、舌の感触がぞわぞわして気持ち悪い。 「も、やだぁ!!」 気絶さえも許してくれないその行為は、私が何度訴えても止めてはもらえない。
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