第二章

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食事が終わり、私の手元に戻ってきたぬいぐるみとクッションの惨劇を、実際に目の当たりにした。引きちぎられて中身の綿が出たクッション、ぬいぐるみも同じような状態で。 大切にしていたものは、無残な姿に変わっていた。それがショックで、ぎゅっと抱きしめていれば匡将さんが頭を撫でてくれた。 「日和さん、私たちで最期は」 「はい、すみません…」 捨てる、処分する、とは言わない西野さんの心遣いに感謝を示し、思い出の品とお別れをする。今までありがとう、その言葉は、ぬいぐるみとクッションに吸い込まれた。 お別れを済ませたら、匡将さんがお風呂に行くぞと私を引っ張った。戸惑っていると、西野さんが補足する。 「その腕をあまり濡らすのは良くないですから、組長と一緒に」 ニコニコと笑って見送られ、誰も私と匡将さんが一緒に入ることを止めない。むしろ腕の包帯は防水のためにと対策が施される始末。 「先行ってるから、バスタオルして入ってこい」 「は、はい」 緊張して、声が震える。身体は隠していい、と言ってくれて少し羞恥心がマシになったが、恥ずかしさは変わらない。全て見られているけれど、でもそれとこれとは違う!! 「洗うぞ」 「お、お願いします」 髪の毛を丁寧に洗われ、コンディショナーまでしっかりとされる。バスタオルで身体を隠す私と、腰にタオルを巻いている匡将さん。この状況にのぼせてしまいそうだ。 「次は身体」 「か、身体は自分でっ」 そう言った側から、背中を優しく洗われ、包帯が濡れないように気をつけながら腕や足まで泡立てた状態で洗われる。前はかろうじて自分でやらせてもらったが、これで終わりじゃなかった。 「お前は、俺のもの。いいか、ここも何もかも、全て俺が支配する。お前は俺に支配される側なんだ」 「っん」 バスタオル越しに下腹部を軽く押される。それだけなのに、変に頭がぼーっとした。 「立て」 震える足で立たされて、備え付けの鏡に手をつかされる。バスタオルははらりと下へ落とされて、救いなのは鏡が曇っていることだった。 「いいか、この顔をしていいのも、俺の前でだけだ。いいな」 「は、い」 顔のあたりの部分を軽く拭いた匡将さんによって、鏡に映る自分の顔が見える。顔を逸らしても、後ろに立っている匡将さんによって顎を掬われて鏡の方へ固定される。
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