第二章

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「日和」 「っん」 軽くキスをされた以外は何事もなく、私は匡将さんに後ろから抱き込まれる形で横になった。 最初は緊張と恥ずかしさでなかなか寝付けなかったけど、温かな腕に包まれているうちに眠ってしまった。 元カレにはいつもヤらせろと言われて、ゆっくり眠ったことは少ないから、安心感でいっぱいだった。 匡将さんが眠っているのをいいことに、向かい合うように寝返りをうって、顔をしっかりと鍛え上げられた胸元にすり寄せる。 最初は散々な出会いで怖いと思っていたし、無理やり迫られたときも恐ろしかった。だけど、優しさにふれて、それは変わった。 私を大切にしているということを、匡将さんが行動で示すことが増えたおかげで、気づくことができたこともある。 元カレにも家族にも信じてもらえなかった、孤独な私を救い上げてくれたのは、間違いなく匡将さん。 そして、西野さんたち。私を優しく包んでくれる。まだ出会って一週間も経っていないけど、彼らが私にあわせて歩み寄ってくれているのもわかっている。 私が悲しい記憶をいつか、そんなこともあったね、と言えるくらい乗り越えるのをサポートしてくれているのも、ちゃんとわかってる。 そんな、助けられてばかりの私にできることは、自分にできることを、することだけだった。
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