第一章

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みあを連れて西野さんと都築さんは部屋を出ていったため、私は匡将さんと二人きりになった。気まずい雰囲気の中で食事を用意されたが、恐怖で食事がのどを通らない。 「どうした、日和」 「っあ、い、いえ…、な、なにも…」 なかなか食べ進めない私を見て、匡将さんは冷たい瞳をこちらへ向けた。それにさらに萎縮してしまう。 「別に危害を加えるつもりはない」 「えっ?」 「ただ、お前が欲しいだけだ」 「ほ、しい…?」 「そうだ。俺はお前のすべてが欲しい。お前が映すものすべてが俺であってほしい、お前は俺のものだ」 お箸をおいた匡将さんは、まっすぐにこちらを見て、そういった。 「私は、あなたのもの。たしかに私はあなたの契約に乗りました。だけど、私はっ!?」 「いまさら、抵抗など無意味だ。大人しく立場を認めろ、そうすれば優しくしてやる」 「なに、を…」 「ああ、また抗われては面倒だ。少々、薬を盛った。悪いようにはしない、しばし眠れ」 「わ、たし、は…、ただ…」 食事に薬が盛られていたらしく、だんだんと身体から力が抜けていく。ただ、私はみあに酷いことをしないで、と言いたかっただけなのに。私が不要になったら、殺してくれと、言うだけだったのに。 私に、愛される価値はない。愛は裏切る、信じても無駄だとわかっているから。愛を信じないものを愛したところで時間の無駄。それならば最初から愛さなければいい。
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