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みあを連れて西野さんと都築さんは部屋を出ていったため、私は匡将さんと二人きりになった。気まずい雰囲気の中で食事を用意されたが、恐怖で食事がのどを通らない。
「どうした、日和」
「っあ、い、いえ…、な、なにも…」
なかなか食べ進めない私を見て、匡将さんは冷たい瞳をこちらへ向けた。それにさらに萎縮してしまう。
「別に危害を加えるつもりはない」
「えっ?」
「ただ、お前が欲しいだけだ」
「ほ、しい…?」
「そうだ。俺はお前のすべてが欲しい。お前が映すものすべてが俺であってほしい、お前は俺のものだ」
お箸をおいた匡将さんは、まっすぐにこちらを見て、そういった。
「私は、あなたのもの。たしかに私はあなたの契約に乗りました。だけど、私はっ!?」
「いまさら、抵抗など無意味だ。大人しく立場を認めろ、そうすれば優しくしてやる」
「なに、を…」
「ああ、また抗われては面倒だ。少々、薬を盛った。悪いようにはしない、しばし眠れ」
「わ、たし、は…、ただ…」
食事に薬が盛られていたらしく、だんだんと身体から力が抜けていく。ただ、私はみあに酷いことをしないで、と言いたかっただけなのに。私が不要になったら、殺してくれと、言うだけだったのに。
私に、愛される価値はない。愛は裏切る、信じても無駄だとわかっているから。愛を信じないものを愛したところで時間の無駄。それならば最初から愛さなければいい。
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