第三章

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西野視点 「ああ、都築か」 「西野、組長になにしたの」 すごい勢いで出ていったけど、なんて言われ、心当たりしかない。 「いや、何も。まぁ、しいて言うなら……、盗聴器ですかね」 「は?盗聴器なんて…どこに……」 今日は、わざと部屋に一人にするように言われていた。もともと、仕事が入っていたのは事実。だから組長が帰るのを待たずに、先に家を出た。その間に組長が朝仕掛けていた盗聴器で盗聴し、状況をうかがっている組長と入れ替わりで出た。 なにせ、日和さんは知らないけど、会社がいくつかあって、今日組長が出勤している場所は同じマンションの企業フロア。そう、エレベーターを降りるだけで出勤できる。 「まぁ、いいや。それで、組長めちゃくちゃ嬉しそうだったけど」 「ええ、ついに日和さんが、堕ちました」 「思ったより、遅かったような早かったような」 「出会いから含めると早いほうです。あんのボケナスあんぽんたんヘタレは、日和さんに襲い掛かってますからね。それがあるからちょっと不安だったんですけど」 「ああ、あれね。一目ぼれしたんだったらそう言えばいいのにね」 二人で言いたい放題をしつつ、日和さんと組長の行く末を考える。今、彼女は外に出ないから安心が確約されているけど、まだ安心安全に過ごせるわけじゃない。 「まぁ、ヘタレな組長でも、日和が幸せならいい」 「そうですね。あの顔だけあんぽんたんが失敗しなければ、日和さんをこちら側に縛ることができる。そうすれば、顔だけクソ野郎の衝動もおさまるでしょう」 「ねえ、さっきから組長の名前ひどくない?笑わせに来るのやめてよ、事実だけど」 「事実ならいいじゃないですか。顔だけおたんこなすのためにも、日和さんには側にいてもらわねばなりません」 組長は最近、機嫌がよく失敗した組員に当たることもない。その分だけ日和さんを傷つけたやつには回ってるけど。 だから、私たちのためにも、組長の機嫌のためにも、日和さんには側にいてもらわねば。彼女が幸せになるためなら、たとえそれが彼女を苦しめるものになったとしても、手中に収める。彼女の幸せは、組長の隣以外にないのだから。 視点終了
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