夏 短編集

夏祭りの逢瀬

8月。夏休みの真っ只中。
田舎の祖父母の家に泊まるのが、毎年の日課。
綾木夏帆は、カランコロンと下駄の足音をさせながら縁日をやっている神社へやってきた。

今年も、逢えるだろうか？

夏帆は、幼い頃から人には視えない幽霊や妖怪が視える力を持っている。
視えるけど視えないフリをして過ごしている。だけど、この夏だけは視えてもいい。
逢いたい人がいるから。
普通なら、誰かと一緒行きたいと思うが夏帆は、毎年1人で来ている。