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――人にはね、人生のプランBが生まれる瞬間ってのがあるんだ。
でもそのBは、大抵使われることなく終わる。
なんでそんな使われないものが生まれるのかって? さあ、どうしてだろうね。
その方が面白いと、この世界か、あるいは大いなる神的な何かが、そう思ったんじゃない? おれも細かいことなんか知らないよ。
で、実はさ。
プランBが生まれるきっかけになったものを、彼の体内に隠したんだ。そう、君たちがさっきまで丁寧に病巣を取り除いていた、あの場所に。
君が時間内にそれに気付いて、どうしてこれがプランBの素になったのか、それがわかったら、君の勝ち。
彼は無事新しい人生を手に入れる。
で、もし君がそれを見つけられなかったら。あるいはその意味に気づけなかったら。
これ、と言って死神は手にした砂時計を軽く振る。
彼はこのまま寿命を迎えるし、この砂が落ちるのと引き換えに溜まって行く君の絶望と涙と苦しみを、おれはもらって行く。
高く売れるんだ、某所で。人間の絶望が詰まった砂時計。
要はさ。
この賭けに負けたら、今度こそ君がその手で、せっかくこの世に戻るチャンスのあった彼を、再び死に追いやることになる。
賭けに乗らなければ、彼はこのまま死ぬけど。それは君のせいでもなんでもない。
さあ、どうする?
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