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「動物虐待反対!!」
動物愛護団体の人々が声高々に叫ぶ。
20xx年。
人類は遺伝子操作技術の発展により、動物に知能の向上と人に近い咽頭を持たせることを可能にした。
その結果、人間の言葉を喋ることのできる動物が次々と生まれ始めた。
喋ることができるようになった動物の中には当然、家畜も居た。
人間の一部はすると次に、喋れるようになった家畜を本来とは別の用途にて使用し始めた。
ある人間は牛、豚などの家畜を今度、工場にて働かせ始める。
毎日、毎日。
週休一日制。
絶えず働かせた。
そのうち一匹の動物が端を発し、それに続いてほかの家畜も同様に、数多につぶやき始めた。
つらい。
きびしい。
たいへん。
するとそれを聞きつけた動物愛護団体の人々は押し寄せ、猛抗議を始めた。
「動物が嫌がっているのに、工場でずっと働かせるのは虐待だ!」
その結果、生まれた新たな法律が『動物愛護特別法』。
法律の内容は至ってシンプルであり、要約すれば「動物に対しての過度な労働は禁止する」といったもの。
これにより喋る事の出来るようになった動物たちは、過酷な労働から解放された。
そうした一連の流れを見ていた20世紀生まれの老人がひとり、ポツリとこうつぶやいた。
「俺の時代には、泣き言を言う動物を守る法律はなかったけどな」
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