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きっと
「こんなかわいいお店、あったんだ……」
西田美萌咲は初めて見る店の前に立ち、その外観に目を輝かせた。
水色とレモン色が縞模様になったサンシェードが、真夏の日差しから店の入り口を守っている。パステルブルーの壁には大きく窓がとられ、明るい店内の様子がよく見えた。
店の奥にあるショーケースには、色とりどりの棒付きアイスが並べられている。
「アイス屋さんかなぁ?」
窓に鼻先を付けるように店内を覗いていた美萌咲は、ショーケースの上に突然にょきっと飛び出した頭に、小さな悲鳴をあげた。ハチミツ色の髪の子どもが、ケースから半分顔を出して、じっと美萌咲を見つめている。と思ったら、その子はカウンターを回り込んで小走りに近づいてきて、笑顔でドアを開けてくれた。
「いらっしゃいませ!」
10歳くらいだろうか。エプロンをしたその子は、小学6年生の美萌咲より少し背が低い。こんな小さい子が店番を? と思ったけれど、翠色の目をしたその子が日本語を話せるらしいことに、とりあえずホッとした。
「外は暑いでしょう? アイスの試食もありますから、どうぞ入ってください」
男の子はショートパンツの足を揃えてドアを押さえ、美萌咲を店内へと誘った。
シャラララン
すずらんのようなドアベルの音と共に中から流れ出てきた空気は、とても涼しい。その冷気と試食の言葉に誘惑されて、美萌咲は白く光るタイルの上に足を踏み入れた。
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