きっと

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 告白(のようなもの)の後、昨日今日と美萌咲(みもざ)は沢渡の顔をまともに見られなかった。彼も特に催促はしてこないけれど、このまま返事をしないでいるわけにはいかない。  沢渡への気持ちは、誰にも話していない。彼にキャーキャー言っている女の子たちはみんなキラキラと可愛くて、「私も」なんて言えない雰囲気だ。美萌咲はその話題を避けるためにわざと、現実の男子には興味がないように振る舞っていた。  私なんかでいいのかな……  沢渡がみんなから変な目で見られたり、仲間はずれにされたりしないかな……  2日間じっくり考えた美萌咲は、一生に一度のチャンスだと思って沢渡にちゃんと気持ちを伝えよう、と決めたのだった。 「ありがとうございました」  爽やかな笑顔に見送られ、美萌咲は店を出た。その手には、パステルブルーの紙袋。ちゃんと保冷効果がありますよと言いながら、男の子がオレンジ色のリボンを付けてくれた。  きっと沢渡はいつものように、開放時間が終わるまで校庭でサッカーをしているだろう。  美萌咲はふわふわと落ち着かない足を学校に向けた。
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