ずっと、

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 紙袋を開けると、中には透明フィルムに包まれた棒付きの黄色いアイスが入っていた。袋の中を覗き込んでも、逆さに振っても、その他にはカード1枚入っていない。保冷剤もないのに、袋の中は冷凍庫みたいに冷えていて、出したアイスは全く溶けていなかった。  不思議に思いながらフィルムを破ってかじり付くと、それは驚くほど柔らかく、冷たい塊は口の中でシュワっと溶ける。見た目はアイスキャンディーなのに、それは凍る直前まで冷やしたムースのような、初めて食べる食感だった。甘ずっぱいレモンの味がかじるたびに口に広がる。その中にときおり、レモンピールを思わせる苦味があった。  不思議な食感と爽やかな風味に夢中になって一気に半分ほど食べ、沢渡はふと動きを止めた。黄色いアイスから顔を出した棒に、何か書いてある。  ベージュの木肌を焦がしたような茶色い文字は、もう一口かじってみてカタカナだと分かった。見えた文字は、「タリ」。言葉の頭の方はまだ、アイスの中に隠れている。 「アタリ」が出たら、もう1本プレゼント。普通ならそう考えるところだが、人は自分の名前に敏感に反応するものだ。 「これ、返事」  そう言った美萌咲(みもざ)の笑顔を思い出して、鼓動が(はや)る。まさか、いや、もしかしたら、そんな期待と不安に背中を押され、沢渡は残りのアイスに前歯を立てた。
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