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すらっとした太もも、白く透き通った肌、流れるような美しい黒髪、大きく開いた瞳……。 それをすべてあわせ持った少女がいるとしたら、その少女は美少女だ。そう誰もが納得するだろう。 彼女のかすかな息遣いは、退屈な授業の時間帯までも、まるで天国かのように彩る。 そこにいれば周りの空気が浄化され、けがれた僕の心さえも溶かしつくしてしまうかのようだ。ああ、まさに天使。その言葉がぴったりなんだ。 僕は羽生亘祐(はにゅうこうすけ)。共学の公立高校に通う、どこにでもいる高校1年生だ。成績は可もなく不可もなくって感じで、運動はどちらかといえば苦手。 趣味は読書と映画鑑賞。当然、教室で目立つキャラなんかではなく、「さえない眼鏡くん(B)」で通っている。(B)というのはA、B、CのなかのBだ。つまりモブキャラ。 もちろんそう思われることに良い気持ちはしないが、そう思われたって仕方がないかもしれない。 僕のここまでの人生は何の面白みもない。小学校も、中学も、高校生活だって。彼女もいたことなんてないし、友達と「青春」っぽいことをしたことなんか一度だってない。
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