2/5
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
もう僕の話はやめよう。平凡の中の平凡で面白みなんてありはしないだ。それよりもはるかに美しくて魅力的な女の子(ひと)の話をしよう。 そう、隣の席の雛酉天音(ひなどりあまね)だ。僕は今、授業の真っ最中だというのに彼女に見とれてしまっている。 僕は頭を押さえながら問題を解くふりをして、雛酉さんの太ももをこっそりと眺めた。 長すぎでも短すぎでもない理想的な丈のスカートから、ふっくらとした真っ白い脚が、椅子の上にちょこんと乗っかる。 ああこれは聖域だ。美少女の、雛酉さんの、膝とスカートのかすかな隙間にある、誰にも侵すことのできない聖域だ。 この聖域を侵す輩がいるとしたら、僕は全身全霊をかけて叩き潰す。青春の肖像しょうぞうとも呼ぶべき、かけがえのないものなんだ。 きっとクラスの男子どもならわかってくれると思う。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!