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僕は目をつぶって深く息を吸った。すると雛酉さんのわずかな匂いが胸の奥に充満した。 素晴らしい瞬間だ。僕は多幸感に頬を緩ませ、紅茶でもたしなむように頷きながら目を開いた。美少女の、雛酉さんの隣になってよかった。 僕は眼鏡の位置を調整し、雛酉さんの膝下に標準をあわせた。さて今度は膝から下を、じっくりと楽しむことにしよう。 雛酉さんの膝下は、太く筋骨隆々で、すね毛がいっぱい生えている。黒く焼けた肌はまるで峡谷の切り立った岩のようにそそりたつ……って、えっ? 僕は目をこすって、もう一度すねあたりに視線をあわせた。雛酉さんの、美少女の膝下だぞ。そんなバカなことはないはず。 しかしもう一度みなおしても、すね毛が生えた野郎の汚い脚がはっきりと見えた。この脚は僕のよりも汚いかもしれない。 僕はサンクチュアリを求めて、視線を上にそらした。あの太ももだ。あの芸術に近い太ももを見なければ、僕のSAN値は削られてしまう。 僕は目を見開いて、精神安定剤を視覚からぶち込むことにした。しかしそこにあったのは「もも毛」の生え散らかした、汚い男のそれだった。 「うわああっ!」
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