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「ほう、希望ね」
男はグラスを手に取り、ダイキリを一口、口に含んだ。
「……彼女を見つけた。これから彼女に託してみようかと」
「……世界をゆだねると?」
「私がこの世界を創造してから、かれこれ138億年になるか。若い頃は夢にあふれ、あらゆるものが、幸せに過ごせる世界を望んでいた。自分のことなど顧みず、それこそ命がけで働いてきた。うまくいっていた、世界は健やかに育ち、鮮やかな彩を描いていた」
「そうだな、私から見ても羨ましい限りだった。しかし、やりすぎた」
「ああ、そうだ。私は幻想を抱いていたんだ。いつの間にか、彼らを自分の友人のように思っていた。自分の持てる知識、技術を彼らでも使えるようにしたんだ。そして……裏切られた」
「自ら世界を壊し始めたな」
「そうだ、たった100年の命で、我々と同じことができると勘違いをした。その結果、出来上がったものは……誤った理」
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