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「禁忌だな、他の世界では非常識のことが、あなたの世界では常識になっている」
「その術を知ったときから、あらゆる過ちを犯し始めた。傲慢、虚勢、欲望、破壊、妬み、驕り、嫉妬、怒り、悲しみ、疑念、そして……裏切り」
バーテンダーはシェイカーに材料を注ぎ込むと、勢いよく振り始めた。シャカシャカと氷が砕けていく心地よい音が店内にこだました。
グラスにゆっくりとカクテルを注ぐと、カウンターテーブルの上をスッと滑るように、カクテルが差し出された。
「お待たせしました。プリンセス・メリーです。ドライジンベースにカカオと生クリームをシェイクしたものです」
私はグラスのステムを握ると、ゆっくりと口に運んだ。カカオの甘たるい香りが鼻をくすぐった。
「……こんな甘い酒を飲むのも、これが最初で最後かもな」
「……」
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