XYZ

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――カラン、コロン―― 「……いらっしゃいませ」 「あ、お父さん。どうしたの? こんなところに呼び出して」 「ああ、マリア、よく来てくれたな。いや自慢の娘を古い友人に紹介したくてな」 「何になさいますか?」 「えーと、ごめんなさい、私今妊娠中でお酒が飲めないので……ミルクをいただけるかしら?」 「かしこまりました」  バーテンダーはそう言うと、シェイカーにミルクを注ぎ、優しく振った。 「ノンアルコールカクテル、モクテルです。ミルクをベースに、リンゴ、蜂蜜をアクセントにしました」 「へえ、こんなカクテルあるんだ、お洒落ね。妊婦でも安心して飲めるわね」  マリアは嬉しそうにカクテルを口に運んだ。久しぶりのカクテルのせいか、アルコールは入っていないはずなのに、顔をほのかに赤くしていた。 「ご懐妊おめでとうございます。お孫さんができたんですね」 「ありがとう、出産は来年の秋だ。その時にはこの世界は……」 「それじゃあ、私からお祝いに一杯ごちそうしましょう。マスター、あれを」 「かしこまりました」
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