XYZ

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 時は九月十三日。  朝になると私は黒き双翼(そうよく)を広げ、肩紐(かたひも)にぶら下げたラッパを手にする。  第一のラッパを吹き鳴らすと、(さかずき)から未知なる業火が空に撒き散らされ、すべてを焼き尽くした。  第二のラッパを吹き鳴らすと、盃から秘密の毒酒(どくしゅ)の津波が押し寄せ、あらゆる生き物は押し流された。  第三のラッパを吹き鳴らすと、盃は割れ、鉄琴(てっきん)を打ち鳴らすような大きな音がして、世界の終末を告げた。  盃の割れた場所から大きな穴が口を開け、漆黒の煙が立ち昇り、太陽の光を閉ざした。  しかしここにひとつの希望が残されている。  マリアとその子供だ。  彼らは新たな光の源として、この世界を輝きで満たしてくれるだろう。  もはやその光をさえぎるものは何もない。  私の役割は終えた。深淵なる無へと(かえ)るとしよう。  彼らの恵みが、あなたがたと共にあらんことを。
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