諦観

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諦観

 愛しいと言いながら彼は私の髪を撫でるけれど、抱きしめてはくれないのだ。  ふわりと触れる指の優しさを感じながら、どこか足りないジレンマ。  いつになったら抱きしめてくれるのかと頭を回してみたけれど、きっと彼は私が言いだすまでそうしてはくれないと、私はどこかでわかっていた。
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