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3分前
「そういや、デパート前にいた野球帽の男、ちゃんと避難したかな」
本部の爆弾処理班の指示に従いながら、爆弾を解体中の坂本がつぶやく。
爆弾のタイマーは残り3分を切っている。
「そんな人いたっけ?」
「いたよ。反対側の路地からビデオカメラで撮影してた野球帽を被った長身の男」
「よく、そんな人覚えているね。さすが、特殊犯罪課のエース」
「しかし、なんであの男、ビデオカメラなんか回していたんだ?イベントがあるわけでもないのに……」
その後、しばらく無言で作業を続けていたが、急に「そうか!わかった」と叫ぶと
テレビ電話で繋がっている本部に向かって
「犯人は自分の犯行である爆発の瞬間を映像に残そうとしていたんです。
爆弾が仕掛けられているのを知っているのは、警察関係者とこの店の店主だけです。
それなのに、何もイベントのないデパートを撮影しているのは不自然です。
その犯人らしき人物を目撃しました。
このデパートの道路を挟んだ向かいの歩道で、ビデオカメラを回していた野球帽の男です。
まだ、現場にいると思われます。至急、職質かけてください」
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