5分前

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5分前

『椎名巡査。全体が見えるように位置を調整してくれ』 本部からの指示で、真上から爆弾処理の様子が良く見えるようにと、カメラの位置を移動する。 映像がブレないように慎重に両手でスマホを持つ姿勢は、女の私には正直ツラい。 そんな私の足元で屈んで作業をしているのは、同期の坂本だ。 爆弾に付いているタイマーはカウントダウンをしていて、今は5分を切っている。 私の役目は、テレビ電話で本部に爆弾の映像を送ることだ。 坂本は本部にいる爆弾処理班からの指示に従い、慎重に爆弾の処理をしている。 爆弾の処理を始めてから5分が経っているが、坂本の集中力は切れていないようだ。 本部からの情報では、この爆弾は、ちょっとの振動でも起爆装置が作動してしまうらしく、安全な場所への移動はできない。 もし、爆発すれば、地下にあるこの店とその上にあるデパートが丸ごと吹っ飛ぶ威力があるそうだ。
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