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「桃花っ! いい加減に出てきなさい!」
ドアを隔ててお母さんが怒鳴った。
「やだやだやだ! 絶~っ対い・や・だっ!」
わたしも負けじと声を張り上げると、真っ白で可愛いこの空間に見事なまでに響いた。
「ここまで来てワガママ言わないのっ!」
「別に来たくて来たんじゃないもん!」
そう、こんな所来たくて来たんじゃない。
大安吉日、6月だと言うのに空は快晴。
まさに誰もが口を揃えて言うこの「良き日」に、わたしは今小さな部屋に閉じこもっている。言わないもん。絶対言わないもん。だってやっぱり言えないんだもん。
「おめでとう」なんて…―
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