86人が本棚に入れています
本棚に追加
★年齢制限表現有(R18)
ほどなくしてふたりは、図書館内の一室に入る。
「…さて」
後から入室した蔓田がドアを閉めると、部屋の全方位から小さくミシッという音が聞こえた。そして外からの雑音が遮断されたように、一切の生活音がしなくなった。
「…!」
異変を察知し、蒼矢は蔓田へ振り返る。
「…何を、したんですか…?」
「準備だよ。お前を手に入れるためのな」
そう言うと、蔓田は蒼矢へとゆっくり距離を詰めていく。
蒼矢の中で今まで巡っていた疑念や想像が、確信に変わる。わかったところで、もう遅かった。頑強な体格の大男が、余裕の表情で歩み寄ってくる。逃げるタイミングさえもつかめず、蒼矢は蔓田から静かに後ずさる。
「そう怯えなくていい。大人しくしていれば、お前にとっても悪いようにはしない」
「……!」
椅子に引っかかりそうになり、バランスを崩した蒼矢の手を捕まえ、そのまま壁へ一気に押しやり両手首を頭の上に押さえつけた。
「っ…離して下さい!」
手を振りほどこうと蒼矢は必死にもがくが、片手で押さえられているのにびくともしない。下半身も太股の間に蔓田の脚が入り込み、ほとんど動かすことが出来ない。
蔓田が、耳元で低く囁く。
「髙城 蒼矢。お前は俺をどれだけ楽しませてくれるのかな?」
そして眼鏡を外して放り、そむける蒼矢の顎を引き寄せると、唇を重ねた。
「…っんぅ…」
全身を拘束されたような形になってしまっている蒼矢は、抵抗する術も無く蔓田のキスを受け入れる。蔓田の口腔内から流し込まれる唾液が蒼矢の口端から溢れ、顎に伝う。
その間、蔓田の空いている片手は蒼矢の上半身を這い進んでいた。喉元から腹部へと辿り、シャツを引きずり出して中に手を入れ、腹から胸、脇、背中、腰と、それぞれの感度を確かめるように撫で回していく。撫でられる部位が移る度、それに応えるように蒼矢の痩躯が小さく反応した。そして徐々に、こわばっていた全身から力が抜けていく。
蔓田が蒼矢の唇から離れると、足で支えられなくなった身体がずり落ち、華奢な腰が蔓田の片腕に受け止められる。
「…あっん…」
吐息を漏らし、半開きになった蒼矢の口を再び蔓田が覆った。歯列が割られ、蔓田の舌が口腔を犯す。
力が抜けたのがわかると蔓田は蒼矢の手から離れ、その細い身体に巻きつくように密着した。首筋を噛み、手を腰から尻の割れ目へとすべらせる。股を押し広げるように脚を深く割り入らせ、蒼矢の股間に身体を押しつけた。
最初のコメントを投稿しよう!