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★年齢制限表現有(微)
「…っ」
蔓田の動きが拘束から凌辱へ変わり、力が少し緩むと、その機を逃さなかった蒼矢が渾身の力で蔓田の巨体をどける。
「おっと」
蔓田の腕をすり抜けると、蒼矢はまっすぐ扉へと走る。
ノブに手を掛けるが、回らない。ノブも扉もまるで壁と一体化したかのように、ぴくりとも揺れ動かなかった。
蔓田が蒼矢の背中に声をかける。
「無駄だ。この空間は完全に密封した。今のお前の力では絶対に開かない」
振り返ると蔓田はいつの間にかすぐ背後に立っていた。すかさず距離を置こうとするが、蔓田は蒼矢の襟首を掴んで引き寄せ、片手で持ち上げた。
「っああ…くっ」
「まだ全然足りん」
そう言うと、蔓田は蒼矢を吊り上げたまま移動し、机の上に放り投げる。
「かはっ…!!」
背中を強く打ち付け、一瞬息が出来なくなった蒼矢の上に、間髪入れずに蔓田が覆い被さってくる。
蔓田の手が下腹部に伸びると、蒼矢は決死の思いで両手を突っぱねた。
「嫌だっ…やめて下さい!!」
「嫌ではないだろう。お前は気持ち良くなっている」
「っ……!」
再び両手を頭上で拘束し、シャツを鎖骨までめくると、臍下まで肌が露わになる。
その白磁のように滑らかな肌をなめまわすように見やり、左胸の上部に視線を移すと、蔓田は口角を上げる。そこには『ガイアセイバー』をセイバーたらしめる証としての、水滴文様の刺青に似た『アズライトの刻印』がくっきりと刻まれていた。
その左胸を押し上げるように強く撫ぜ、小さな突起を親指で押し込む。
「うああぁっ!!」
蒼矢が腰を浮かし、激しく反応する。
「『俺たちの敵』がこの程度だとはな…拍子抜けだ。今までどうして攻略出来なかったのか、全くわからん」
…何を言っているんだ…?
痛みとそれに混ざる疼くような感覚に襲われる中、呼吸を乱しながら蒼矢は蔓田の言動を推し量っていた。
『お前を手に入れる』『敵』『攻略』…、蔓田と面識を持ってからこっち、彼と接触する度に感じていた、奇妙な身体の"震え"。
そして、着衣を乱されたせいでジャケットの内ポケットからコロコロと出てきたペンダントが、視界に入ってくる。
今まさに眼前で青く光る起動装置が、蒼矢に覆い被さる男が何者かを示していた。
表情を固まらせ、大きな目を見開いてこちらを凝視する蒼矢に、[蔓田]はにやりと歯列を見せた。
「ようやく気付いたか。髙城 蒼矢…いや、ガイアセイバー『アズライト』」
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