第8話_侵略者と守護者

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第8話_侵略者と守護者

★年齢制限表現有(微) 最大五人で構成される『ガイアセイバーズ』は、それぞれが持つ能力の特長を活かせるように、各々が役割を持って活動している。 そのひとりである蒼矢(ソウヤ)が変身する『アズライト』は、[侵略者]や[異形]の居場所を特定したり、性質や弱点などの情報収集が出来る『索敵』という固有能力を持っていて、地味ではあるが他セイバー個々の負担を減らしたり、戦闘時間を大幅に短縮できたりと、サポートに特化したセイバーである。 また変身前の現実世界でも、わずかに能力を使うことが可能で、敵である[異界のもの]の発生したおおまかな場所を感じ取ることができる。 しかし、こうして何年も能力と共にしてもなお未知な部分はまだ多く、蒼矢自身もわからなかった『アズライト』の宿主になったことによる感覚に、ふと気付くことがあったりする。 そして今、新たな未知の能力を身を持って理解したのだ。 "蔓田(ツルタ)"は、[侵略者]。 一瞬沈黙が降り、思考が停止した蒼矢は目の前の[侵略者]を凝視したまま固まるが…身体の奥から押し寄せるように『嫌悪』と『敵意』が湧きあがり、上気していた身体が瞬時に総毛立った。『セイバー』としての自分が、明確に蔓田を[敵]と認めたのだ。 しかし、わかったところでどうにもならない状況にさらされていた。[蔓田]は、正体が割れてもかまわず凌辱し続けようとしてきた。 「やめろっ…やめろ、触るな!!」 本能が目覚めた蒼矢はめくられたシャツを押さえ、足を振り上げて[侵略者]の脇を蹴り飛ばす。 「良いぞ、その反応を待っていた。そうでないと、こちらも楽しくない」 しかし、激しい抵抗を見せる蒼矢の様子を見て、[蔓田]はかえって気持ちを昂らせたのかにやりと嗤い、足蹴を簡単にあしらって、細い首に手をかける。 「! んっ…く…」 苦しさに懸命に手を引き剥がそうとするが、もちろんびくともしない。 [蔓田]のもう片方の手は悠然と下半身に伸び、股間を軽く揉み上げてから、ベルトを掴む。実にスムーズな動きでバックルが外れ、ファスナーが下ろされると、薄い布に覆われた温かな局部が外気に露出した。 [蔓田]は口角を一層つり上げ、生唾を飲み下した。 「さて、頂くとするか。まさか『セイバー』の精液が飲めるとは思わなかったぞ…お前に目をつけて正解だった。なあ、『アズライト』…いや、『髙城(タカシロ) 蒼矢』か」 「…っ…!」 追い詰められた蒼矢には、二択しか残されていなかった。 このまま[侵略者]に犯され続けるか、変身して『転異空間』へ移動し、『セイバー』として戦うか。 セイバーズ間の取り決めとして、単独での戦闘は危険過ぎるため原則禁止されていた。転異空間に入り、万が一セイバーが[侵略者]に敗北した場合、彼らの手によって[異界]へ連れ去られ、帰還できなくなる可能性があるからだ。 中でもとりわけ『アズライト』については、固有能力としての攻撃手段をほとんど持たず、防御手段も特出したものが無いため、単独戦闘は絶対NGと固く決められていた。 …[侵略者]は、自分を"手に入れる"と言っていた。最終的には[異界]へ連れ去ることが目的だ… この空間にいる限り、他のセイバー達との連絡手段はおそらく絶たれているし、抜け出すこともできない。 でも変身すれば…連絡はできないが、自分の現況だけは知らせることが可能だった。 相当危険な賭けだったが、蒼矢は覚悟を決める。 まさに[侵略者]の手が中心の膨らみに触れようとする直前、蒼矢は胸元に光る起動装置を握った。
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