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第14話_拠点への急襲
昼食の後すぐ、蒼矢は再び体調を崩してしまった。
来ていた面子を居間に残し、蒼矢は葉月に付き添われて寝室へ戻る。
「…すみません、何度も…」
「本調子じゃないのはわかってるから。…こっちこそ無理させちゃったね」
「いえ、大丈夫です」
葉月は昨日から毎食、蒼矢の食欲をチェックしていた。なるべく消化に良いものを用意したが、それでもいつもより食が細かったので、足りない分は栄養補助食を食べさせるなどし、彼の体力がなるべく早く回復するよう気を配り続けた。
蒼矢はその葉月の意図を理解し、何も言わず彼の指示通り、体力回復に励んでいた。
いずれまた襲ってくるだろう[侵略者]に対抗するためだった。
蒼矢の話を聞く限り、[蔓]という[侵略者]は強敵で、人数が揃っていないと厳しい戦闘が予想された。また揃っていたとしても長期戦になる可能性があり、[蔓]の特性・弱点の把握…つまり、蒼矢の変身する『アズライト』の『索敵』が必須と考えられた。
近くまた来るだろう再戦闘では、必ず蒼矢を連れていかなければならない。
体調を対峙できる状態にまで戻して、凌辱を受けた相手と再び戦わなければならない。
我ながら酷なことを強いていると思いながらもあえてそこには触れず、葉月はそんな自分を嫌悪した。
簡易的な栄養補給を済ませ、蒼矢はベッドに横になった。
「今本を持ってくるからね」
「ありがとうございます」
そう言葉を交わし、葉月は寝室の入口に向かう。
「…!!」
蒼矢は彼の後ろ姿を見送っていたが、急に何かを感じて飛び起きた。
「葉月さん!」
珍しく大きな声を出した蒼矢に驚き、葉月が後ろを振り向くと、彼は一点を見たまま目を見開き、両手で自分の腕を抱いていた。
「…蒼矢!?」
「[奴]が…[奴]がいます!」
次の瞬間、開くはずのない二階の寝室の窓が全開し、外気と共に音も無く何かが室内に降り立った。
[蔓]が蒼矢の方を見、にやりと嗤った。
「迎えに来たぞ、高城 蒼矢」
「……!」
葉月は瞬時に飛び、蒼矢の前に入る。
「邪魔だ」
前兆モーション無く[蔓]は葉月の眼前に詰め、胸ぐらを掴んで横に投げ飛ばした。
「う゛っ…」
凄まじい腕力でもって壁際の家具に叩きつけられ、葉月の身体が床に落ちる。
[蔓]の視線は蒼矢から外れない。
「この間より生気が弱っているな。体液を与え過ぎたか」
葉月の存在は歯牙にもかけていないようで、[蔓]は独り言のように蒼矢の様子を分析し始めていた。逃げる隙を見つけられず、蒼矢は背後の壁に追いやられる。
「今回は様子を見ながら調整しよう。簡単に壊れてしまっては惜しい獲物だからな」
「…っ…!」
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