第14話_拠点への急襲

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居間で待っている三人には、なんとなく重い空気が漂っていた。 「(アオ)兄…まだ具合悪いのかな。さっきだって、蕎麦全然食ってなかったし」 寝っ転がってスマホをいじっている(アキラ)が、小さくつぶやいた。 「良くはねぇだろ。だからってのもあって葉月(ハヅキ)さんちにいるんだろ?」 「違くて! 病院に連れてった方がいいんじゃねぇかって俺は言いてーんだよ!」 (レツ)の冷めた言い草に、陽はがばっと起き上がり、がなり返す。 「どこが悪いのかみんな全然教えてくれねーし、…そもそも、何でああなったのかも俺知らねーし…」 口をへの字に曲げて、陽はまた目を潤ませる。 蒼矢(ソウヤ)以外の四人のうち、陽だけは事の次第をほとんど把握していなかった。陽の性格や気持ちを考えて、あえて伝えていなかったのだが、隠しておくにもそろそろ限界が感じられた。 一旦沈黙が降りた中、影斗(エイト)がぼそりと口を開く。 「…病院に行ったら、どんな診断が出るかわからねぇんだよ」 「?? どういうこと?」 「[奴ら]にな、得体のしれない薬を飲まされたっぽいんだってさ」 陽へ向け淡々と説明し始める影斗に、烈はぎょっとして顔をあげる。 「薬…!?」 「そー。成分がわからねぇ。血液検査でもできればわかるかもしれねぇけど、俺達以外の人間に判っていい内容じゃないかもしれねぇ。…だからだよ」 「そう…なのか」 きわどいところで絶妙に止めて、影斗は陽を納得させた。 烈は密かに、さすが影斗だと感心した。 次の瞬間、階上から衝撃音が聞こえ天井が軋み、ついで各々の持つ起動装置が光り始める。 三人は一斉に立ち上がり、寝室へと全力で駆けだした。 寝室に着くと、落ち着いた雰囲気の室内が一変していた。さっきの轟音の原因だろう、破壊された家具の前に葉月が倒れていて、部屋奥のベッドの上で、蒼矢が見知らぬ大男に首を掴まれ、壁に押さえつけられていた。 [侵略者・(カズラ)]が振り返った。 「『ガイアセイバーズ』か。残りの三体揃い踏みか?」 部屋に入った三人は光景を目にしたまま固まり、陽は無意識に鉱石へ手をかける。 「蒼…兄」 「陽、待て!!」 『起動装置』を握ろうとする陽を、烈が鋭く制する。その隣で、影斗が冷や汗を流しながらつぶやいた。 「…まじかよ」 [蔓]の手には、蒼矢から奪った起動装置が握られていた。宿主から離れたアズライト鉱石は、輝きを失ったまま静かに目の前の[侵略者]の手中に収まっていた。
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