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翌年の夏、私はお弁当を片手に道立体育館に向かった。スターティングメンバーに選ばれた葛上くんがコートからこっそり手を振る。
お弁当箱には鮭おにぎりが三つとツナマヨおにぎりが三つ。開け放たれた扉から熱をはらんだ風が吹き込んでくる。
葛上くんと一緒に歩いたあの夏の日。あの街を一緒に歩いたのはただ一度きり、だけど夏は続く、今もこれからもずっと未来も。
未来のかけらはあの大きな手の中にあるから。
笛の音と共に試合が始まる。ジャンプボールからのこぼれ球、味方の速攻、葛上くんのレイアップシュート――
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