大きな手、未来のかけら

6/7

15人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
 ***  翌年の夏、私はお弁当を片手に道立体育館に向かった。スターティングメンバーに選ばれた葛上くんがコートからこっそり手を振る。  お弁当箱には鮭おにぎりが三つとツナマヨおにぎりが三つ。開け放たれた扉から熱をはらんだ風が吹き込んでくる。  葛上くんと一緒に歩いたあの夏の日。あの街を一緒に歩いたのはただ一度きり、だけど夏は続く、今もこれからもずっと未来も。  未来のかけらはあの大きな手の中にあるから。  笛の音と共に試合が始まる。ジャンプボールからのこぼれ球、味方の速攻、葛上くんのレイアップシュート――
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加