ただジェイのために

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   シャワーも浴び、ジェイが待つベッドに入った。すぐに蓮の顎の下に潜り込んでくるジェイを撫でながら思いついたように言う。 「な、週末だしどっか行こうか」 「出かけるの? 俺と蓮の2人?」 「当たり前だろ。誰にも邪魔されたくない。ちょっと待ってろ」  ノートパソコンを持って来た。実はもうプランは立てている。ジェイの前であれこれ検索した。 「これ! ここに行こう!」 「どこ?」 「このコテージさ。こういうの俺も泊ったことないよ。暖炉があるってさ」 「暖炉!?」 「2人とも初体験だな。コテージだからホントに2人きりだ。食事は自炊も出来るんだがこんな時くらい作りたくない。ここ見ろよ」 『お部屋にお食事お届け、またはご用意』とある。 「弁当は味気ないだろ? こっちの鍋にしないか? 2人で鍋つつくなんて久しぶりだよな」  ジェイの目がキラキラしてくる。 「それにこの椅子、ロッキングチェアだぞ」 「ロッキングチェアって?」 「座るとさ、揺れるんだよ、椅子が。ゆっくり揺れるから気持ちいいんだ」 「でもここで何するの?」 「なにも。だらだらしに行くんだ。映画も見れるって書いてある。お前の好きなゼリーだのお菓子だのジュースだの持って行こう。3時間もしないで着くんだ、朝寝坊して、いく途中はドライブを楽しみながら夜は暖炉。今回は無理だが次に行くときはワインなんか持って行こうか」  ジェイが嬉しそうに頷くからそれだけで蓮は嬉しくなる。 (お前の笑顔を大切にしたい。泣かせたくない)  このコテージはまさなりさんが予約してくれた。ここに籠って絵を描いていたこともあるという。思い切っての電話での相談だったが、『暖炉があって食事の心配のないコテージを知っていたら教えてほしい』と頼むとすぐにこのコテージに連絡を取ってくれたのだ。 『いいことだよ。2人でゆっくりしてきなさい。都会から離れて自然の中で呼吸するのは大事なことだ。きっと気持ちが落ち着くよ』  ジェイは今夜はゆっくり眠るだろう。夕べみたいにいきなりしがみついてきたりしないで。だから2人だけで過ごしたい。  
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